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凍結深度とは、土の中の水分が凍ってしまう深さのことを言います。家づくりにおける凍結深度の重要性について見ていきましょう。
凍結深度とは、寒冷地で冬季に地面の下が凍ってしまう深さのことです。水が氷に変わるときには、体積が9%も増加すると考えられており、地面は水分を含んでいるため、寒冷地では地表から下の一定の深さまで地盤が凍結するのです。
土が凍ると体積が増え膨張してしまい、それによって地面の上にも力が生じます。基礎やその上にある建物が持ち上げられてしまったり、基礎となっているコンクリートがひび割れることもあるでしょう。
そのため家づくりを行う上では、建物の基礎を土が凍る位置について踏まえた上で考えなくてはなりません。長野を含め、寒冷地についての経験や実績がある地元の工事事業者であれば、凍結深度のことを視野に入れて対策を行った住宅の設計・施工しています。逆に温暖地などの設計士・工事事業者では、凍結深度を知らないこともあります。
長野県または長野市では、凍結深度は45㎝以上と定められています。標高が概ね800mを超える地点では60㎝以上としていますが、その地点の地盤・気象条件等に基づき算出した場合はこの限りではありません。
寒冷地では土地の凍結についても十分な注意が必要ですが、凍結リスクのない快適な住まいを目指すためには、水道管の凍結にも注意しましょう。水は凍れば体積が膨張してしまいますから、水道管の凍結を長時間にわたって放置すると、水道管が破裂するリスクが高まります。
水道管が凍結しやすいのは、土地の凍結深度から屋外に出ている部分です。つまり外部水栓や給湯器の配管等が凍結しやすく、気温がマイナス4℃以下の場合には特に凍結しやすい傾向があります。新築の家よりも老朽化した水道管で起こりやすいため、寒冷地の老朽化した住宅などでは特に水道管の凍結への対策が求められます。水道管を断熱材で保護する方法もありますが、これも全く外気の影響を受けないわけではないため要注意。
水道管の凍結・破裂対策には、以下のような方法があります。
外部水栓の蛇口に「水抜きハンドル」があれば、これを回して蛇口を開いておくことによって水道管の中を水抜きすることができます。水を使用する時以外は水抜きにしておけば、地中の凍結深度まで空にして水の凍結を防げます。
水抜きハンドルがない場合は水道メーターで水を止め、水道が出ないように対策する方法もあります。
新しい家であれば、ほとんどの外部水道管は断熱材で覆われています。古い家などで外部に露出している水道管がある場合は、保温材やタオルなどで覆って凍結の対策をしておきましょう。断熱材があらかじめ用意されている水道管であっても、断熱材が古くなっている場合には同じように上からタオルや保温材などを巻き付けておくと凍結リスクを防げます。
凍結が懸念される季節・時間帯などには、少量で構わないため水を出し続けておきましょう。常に水の動きが出ている状態になれば、水道管の内部に水が溜まりづらくなり、凍結を防ぎやすくなります。出し続ける水は大量ではなく少量で構いませんが、この方法では水を出している間ずっと水道料金がかかるため注意が必要です。
多くの自動給湯器には、凍結防止機能が付けられています。浴槽の追い焚き口から配管内に水を循環させて、凍結を予防することが可能です。このような凍結防止機能を使う場合は、追い焚き口の10㎝程度上までお湯を残したままにしておく必要があります。夜間に浴槽にお湯が残っていないと、この機能が使えなくなるため注意しましょう。
ただし自動給湯器の機能を使う場合は電源が必要ですから、ブレーカーが落ちないよう要注意。細かな使用方法や注意点は自動給湯器の各メーカーによって異なるため、ご自宅の給湯器の説明書を良く確認しておきましょう。
水道管の凍結自体を起こりづらくするためには、住宅の「基礎」といわれる部分に断熱材を使用する「基礎断熱」という方法があります。建物の外周全ての断熱を行い、床下空間を室内空間にしてしまう工法です。
基礎断熱を行うことで、断熱・気密性の確保だけではなく、床下空間を活用することもできるようになります。冷暖房の省エネにも繋がる他、配管の凍結防止効果も期待できるでしょう。
ただし断熱材の中を通ってシロアリが入り込むケースや、施工時にカビが発生する場合もあります。これについてはシロアリ対策の施された断熱材や、換気対策を施した設計など、すでに様々な対策も講じられています。