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長野県は雪の多い地域として知られています。雪の降る地域の家づくりや長野県の雪対策についてまとめました。
長野県には、雪が多い「豪雪地帯」がある県です。また、豪雪地帯よりもさらに積雪が多い「特別豪雪地帯」も存在します。北信エリアは、長野県の中でも特に積雪が多い地域です。 豪雪エリアを示す地域指定図によると、長野県北部に雪深いエリアが集中していることが分かります。
特別豪雪地帯には、長野市の一部や白馬村、信濃町、飯山市、野沢温泉村など10の市町村が該当します。豪雪地帯は、松本市や安曇野市、飯田市の一部などです。
長野県でも積雪量が少ない地域はあります。それは、佐久市と上田市です。佐久市と上田市は生活がしやすいエリアのため、賃貸で住む人も多いようです。電車も通っていて交通アクセスが良いことから、雪道の運転に慣れていない人でも安心して住めるでしょう。駅の近くに病院もあるので、通院の心配もありません。
長野県は縦に長いため、地域によって積雪に違いがあります。また、東信地域は雪が降っても積雪することが少ない地域と言われています。
では、雪の多い地域ではどのような家づくりを行えばよいのでしょうか。雪に強い住宅について紹介していきます。
落雪式住宅は、屋根の傾きを急にすることで自然に雪が屋根から滑り落ちるよう工夫された家です。
落雪式住宅はほとんどが3階建てです。1階は頑丈なコンクリート造りになっていて、リビングは2階にあります。積雪量が増えると1階部分が雪で埋まり、室内に太陽光が入らなくなるためです。1階は、基本的に車庫や物置として使用されています。
耐雪式住宅は頑丈な雪国の家をさらに頑丈にしたもの。柱や梁、壁をとても頑丈にし、雪が3メートル積もっても耐えられるよう設計されています。雪おろしの作業回数を減らすことが可能ですが、雪が3メートルを超えると雪おろしする必要があります。
融雪式住宅は、屋根を温めることで雪を溶かすタイプの家です。屋根を温めるためには、灯油や太陽光電池が使用されます。灯油を使用する方法では、屋根のすぐ下に寒くても凍らない不凍液が通るパイプを敷き詰め、そこに灯油で温めた温水を通します。
太陽光電池を使用する方法では、屋根のすぐ下に電熱線を敷き詰め、太陽電池などでつくられた電気によって電熱線を温めます。温めて雪を溶かす方法は、便利かつ有効な手段です。
1階の窓をそのままにしておくと、降ってきた雪や雪おろしによる雪、屋根から滑り落ちてきた雪などによって窓ガラスが割れてしまう可能性が。1階の窓の横に横板を並べることで窓を割れるリスクを防ぎます。それが、雪囲いです。
ただし、窓に板を取り付けてしまうとどうしても家の中が暗くなってしまいます。そこで近年では、雪囲いを選択する家では1階をコンクリート製の車庫や物置にし、3階建てにする家が増えてきています。
窓ガラスは2重にすることで、家の中を暖かく保ちます。2重の窓ガラスは、ガラスが2枚使用されているためガラスとガラスのあいだに空気の層をつくることができ、外の寒さを室内に入りこまないようにしてあります。
2重窓を設けることで、窓を通じて室内に冷気が伝わったり冷気が侵入したりすることの防止が可能です。
雪国で快適に暮らすためには、気密性や断熱性は非常に重要です。気密性とは、住宅の隙間を減らして外気の侵入を防ぐ密閉性の高さを示すもの。気密性が高くなれば外気の影響を受けにくくなり、室内の温度が快適に保たれるようになります。断熱性は、外気温の影響を遮断する性能のことです。建物の外壁や内壁部分に専用の断熱材を導入し、高断熱を可能とします。
気密性と断熱性は、どちらも家の快適性を支える重要な役割を持っています。基本的にはセットとして導入することが一般的です。せっかく断熱性を高めても、住まいに隙間があれば室温が変化してしまうからです。どちらか一方では効果は半減してしまい、両方の性能を同時に導入することで効果が高められます。
長野県には雪に強い住宅を建てたりリフォームしたりした場合、費用の一部を助成する補助金制度があります。詳しく見ていきましょう。
毎年多くの人が屋根の雪おろし作業による事故で亡くなっています。多くは屋根からの転落であり、屋根の雪おろしは非常に危険な作業であると言えるでしょう。雪に強く雪おろしを必要としない、または雪おろしを安全にできる住宅を克雪住宅と言います。地域ごとに定められている最深積雪量に対して安全な構造となっています。
「克雪住宅普及促進事業補助金」は、豪雪地域に暮らす人たちの身体的負担を軽減し、雪おろし作業中の転落事故を未然に防ぐため住宅の克雪化の整備(新築・増改築・改修工事)を行った費用の一部を助成する制度です。雪おろし作業を不要とする克雪住宅を整備し、安全かつ快適に暮らせる住まいを増やしていくことを目的としています。
補助金の対象となる克雪住宅は、熱エネルギーによって屋根の雪を溶かす「融雪型」と雪を自然に落下させる「自然落雪型」、屋根に命綱固定アンカーを設置して転倒を防止する「雪下ろし型」の3つです。融雪型は新築・増改築・改修でも補助対象となりますが、自然落下型と雪下ろし型は改修のみなので注意しましょう。
補助上限額について、融雪型は60万円(高齢者世帯は75万円)、自然落雪型は45万円(高齢者世帯は55万円)、雪下ろし型は8万円となっています。高齢者世帯とは、生計の中心となる人が60歳以上の世帯です。詳細は各自治体にお問い合わせください。