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年齢を重ねると足腰が弱まるため、階段を1段上るだけでも大きな負担となります。階段のない平屋を建てることで、こうした負担を避けることができるでしょう。また、階段は子どもの転落などのリスクもあるため、リスク回避という点ではメリットといえます。
平屋のもう一つの利点は、掃除や洗濯が楽になることです。フラットな構造なので、洗濯物を持って階段を上り下りする必要がありません。階段の掃除も重い掃除機を運ぶ手間が省けます。また、重い荷物を2階へ運ぶこともなくなること、生活動線が複雑にならない点もメリットです。
平屋は地震に強いというメリットがあります。2階がないため、支える重量が少なく、安定感があります。地震の揺れも、家全体の重さが軽いため大きくなりにくいのです。
2階建てや3階建ての住宅を建てる場合、階段を設置するためのスペースが必要になります。階段のスペースを削ることで、室内の活用できるスペースを広くすることもできるでしょう。
家を建てた後には継続的なメンテナンスが必要です。屋根の張替えや外壁塗装などのランニングコストがかかりますが、平屋は2階建てや3階建てよりも延床面積が小さいため、メンテナンス箇所を抑えてコストを安くすることができます。
たとえば、リビングが道路側にあり、掃き出し窓のような大きな窓がある場合、歩行者から家の中が丸見えになってしまいます。このため、間取りの計画にも影響が出ます。さらに、周囲に2階建てや3階建ての家が多いと、圧迫感を感じてしまうこともあるでしょう。
床上浸水が起きやすいエリアでは、平屋だと被害が大きくなりがちです。近くに川があり、水があふれて床上浸水が発生すると、家具や電化製品が濡れて使い物にならなくなるリスクがあります。土地を購入する際には、床上浸水のリスクの高いエリアか、ハザードマップで確認することが重要です。
平屋の場合、部屋数が多くなる傾向があります。その中には、他の部屋に囲まれて外に面していない部屋もできてしまいます。このような部屋では採光が難しくなる問題があります。また、部屋数が多い分、壁も増えるため、風通しにも影響が出ます。中庭のようなスペースを設けることでこれらの問題に対処できますが、その分、間取りに工夫が求められます。
平屋の建築費は2階建てより高くなることがあります。その理由は、土地代と施工コストです。2階建てと同じ延床面積を確保するためには、平屋はより広い土地が必要です。特に都市部では土地の購入コストが高くなります。また、平屋は基礎と屋根の面積が広くなるため、建築費も高くなりがちです。延床面積に対する建築費を考えると、平屋は2階建てや3階建てより割高になることが多いのです。
このように、平屋には多くの利点がありますが、同時にいくつかの課題も存在します。建築費や土地の広さ、間取りの工夫などを考慮しながら、適切な住宅を選ぶことが重要です。どのような住宅が自分にとって最適かを慎重に検討することで、より快適な住まいを目指すことができるでしょう。
土地の広さに余裕がなくても、二階建てなら部屋数を確保できます。例えば、1階にリビングを設け、2階に寝室や子ども部屋を配置することができます。しかし、平屋だとすべての部屋を1階にまとめなければならず、部屋数が少なく、十分な広さを確保するのが難しくなります。
家族同士でもプライバシーを守りたい時があります。二世帯住宅の場合、1階と2階で別々の世帯が住み分けることができるため、プライバシーを確保しやすいです。一方、平屋は家族がコミュニケーションを取りやすいというメリットがありますが、プライバシーが守りにくく、ストレスが溜まることもあります。
二階建ての住宅では、一階が二階部分の重さを支えなければなりません。建物が高くなるほど、少ない面積でその重さを支える必要があり、地震の揺れに対して弱くなる可能性があります。平屋に比べて地震のエネルギーを受けやすいため、建築時の地震対策によるコスト増加などのリスクがあります。
外壁塗装や屋根塗装などを行う場合、平屋よりもコストが高くなる傾向にあります。二階建ては屋根や外壁の面積が平屋より広くなるほか、施工のための足場も規模が大きくなるため、価格が高くなりがちなのです。
長野は地域によるものの、冬には大雪が降ることもあります。家を建てるとなると冬の雪下ろしなども懸念されるため、雪下ろしがしやすい平屋を建てるべきと考えている人もいるでしょう。
ただし、長野のような雪の降る地域に建てられる家は、一般的に降雪を想定した設計になっています。雪の重みにある程度耐えられる作りとなっているため、屋根の雪下ろしが必要ない場合も。そのため雪が降る地域であっても平屋にこだわる必要はないのです。
長野県は降雪量が少ないところもあります。雪があまり積もらない地域なら「雪対策を考えて平屋」と、こだわらなくてもよいでしょう。
また、豪雪地帯の雪下ろしへの対策として、屋根を無落雪屋根にする方法も挙げられます。雪が屋根に3層積もることで、新雪が外気の温度を遮り、新雪の下にある雪が緩やかに溶ける構造です。2階建て以上の場合、無落雪屋根を取り入れることを検討しても良いでしょう。
水害への対策として、2階建てを選ぶべきと考える人もいるでしょう。水害が発生した場合、平屋だと一階部分が浸水してしまうリスクがあります。2階建てであれば2階に逃れることもできるという理屈です。
しかし、1階が浸水するようなレベルの災害が起きた場合、浸水が起こる前に自治体から避難勧告が出るはずです。浸水前に避難すれば2階へ逃れる必要もないため、水害対策として2階建てにこだわる必要はないといえるでしょう。
新しく土地を購入して家を建てる際には、慎重な調査が求められます。そのために役立つのが自治体が発行するハザードマップです。ハザードマップには、洪水や土砂災害、高潮や津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴や成り立ちなど、エリアに関する幅広い情報が掲載されています。また、不動産取引の際には、このハザードマップを基に所在地の説明が義務付けられています。
確かに水害は危険で、財産を失うリスクがありますが、前提として水害対策を行うよりも、土地選びに慎重になる方が賢明です。適切な土地選びを重視し、よりよい家づくりを目指すことが重要です。
水害対策のポイントは、海や川からの距離です。また、十分な高さの堤防が設けられている場合、水害のリスクは低くなります。水は高いところから低いところへ流れるため、周囲より高い土地は水害に強いといえます。また、埋立地は地盤が緩いため、避けるのが無難です。
平屋でも水害に強い家を作ることは可能です。土砂崩れや高さ制限を考慮しつつ、土地に盛土をして敷地を周囲より高くすることで、水害のリスクを抑えられるでしょう。住宅の基礎部分を高くする高床も有効な方法です。ただし、道路斜線制限や隣地斜線制限などの規制を確認する必要があります。また、防水性のある塀で家を囲むことで外部からの水を防げますが、門が開いていると効果が薄れる、敷地内の水はけが悪くなるなどのリスクも考慮しましょう。これらの対策を講じることで、平屋でも水害に強い家を目指せます。土地の選び方や住宅設計の工夫などからよりよい家づくりを行っていきましょう。